2020.05.29
バリアフリー住宅とは? どの世代も安心して暮らせる家づくり
バリアフリーとは、障壁(バリア)を取りのぞく(フリー)という意味になり、「暮らしやすい環境を整備する」ということです。おもに障がいを持つ方や高齢者の方が暮らす家というイメージがあるかもしれませんが、妊娠中の方や小さなお子さまなど、どの世代も快適に暮らせる工夫が施されているのがバリアフリー住宅です。
今は必要ないと思っても、将来を見すえて検討してみてはいかがでしょうか。
この記事では、バリアフリー住宅を建てる際に、今から備えておくための注意点などを解説していきます。
玄関
玄関の段差の解消をしましょう
玄関のバリアとしてあげられるのは、まず段差でしょう。靴を脱がない習慣がある海外と違い、土間で靴を脱ぎ室内にあがる(段差がある)のが日本古来の玄関の形です。
身体に不自由を抱えている方にとって、この段差を上がることはとても困難ですし、靴を脱ぎ履きするときに転倒してしまう危険があります。
段差の解消をするには、スロープを設置したり、玄関をフルフラットにすることです。
完全に段差を解消することが難しい場合は、ステップ階段にし、手すりを設置するといいでしょう。
また、玄関の土間にベンチや椅子があると、靴の脱ぎ履きの動作が少なくなり便利です。
廊下
安心して移動できる廊下にしましょう
廊下は各部屋を移動するときに必ず通ります。転倒事故を防ぐためにも手すりを設置しましょう。
現時点で手すりが必要ない場合でも、あとから設置できるように壁に下地だけでも入れておくといいでしょう。
足元を照らすライトを設置しておくと、就寝中のトイレなど、安心して移動できます。
また、車いすが通れる幅をあらかじめ確保しておくことをおすすめします。廊下の幅をリフォームで広げるのは難しいため、新築の際に可能な範囲で検討してみてください。
階段
安全に上り下りができる階段にしましょう
バリアフリーの観点からいうと、2階建てよりも平屋の方が向いていると言えるでしょう。しかし、広い土地の確保が難しい住宅事情を踏まえると、あまり現実的ではありません。
階段を設ける場合は、直線型の形状は避けましょう。階段を踏み外したとき、階下まで転落してしまう危険性があります。
安全に上り下りできるよう両側に手すりを設置し、ステップ部分にはすべり止めの処理をしましょう。
廊下と同じく、足元を照らすライトがあると安全性が高まります。
トイレ
トイレでの立ち座りの負担軽減をしましょう
ドアの開閉、便座の立ち座りには、手すりが必要不可欠でしょう。
手すりの種類として直線型、L字型、可動型などがあります。使用される方に寄り添った種類を選択し、取り付け位置にも十分配慮しましょう。
トイレは、一日に何度も使用します。夜中でもすぐにトイレに移動できるように、寝室の近くに設置してあると安心できます。
浴室(脱衣所)
他の部屋との寒暖差に注意しましょう
トイレと同様、浴槽をまたぐ動作は大きな負担になりますので、手すりを設置しましょう。
また、濡れた床ですべって転倒してしまう危険もあります。すべりにくい素材の床材を選びましょう。
寒暖差によるヒートショックにも気をつけなければいけません。ヒートショックとは、急激な気温差により、血圧が大きく変動することです。寒い脱衣所や洗い場は、血管が収縮して血圧が上がります。その状態で浴槽に入ると、今度は血管が広がり血圧が急降下し、失神による溺死や心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高めてしまいます。
防止策として浴室や脱衣所に暖房器具を設置し、空気を暖めておきましょう。
まとめ
全体的に言えることとして、扉は開き戸ではなく、引き戸の方が好ましいでしょう。
各部屋の段差をなくし、なるべくフラットな床にできるよう検討してみてください。
特に冬場の暖かい部屋から、浴室や脱衣所、トイレなどの冷えた場所へ移動したときの寒暖差には気をつけましょう。
将来リフォームで導入するよりも、新築時にバリアフリーの設計を組み込んでおいた方が費用を安くおさえられる場合もあります。
家族の希望を取り入れ、オリジナル仕様の設計・施工ができる、地域の工務店にぜひご相談ください。
バリアフリー住宅はあらゆる世代にとって安全安心に暮らせる家ですが、家族のこれからの状況を想像し、本当に必要なのかどうか考えることも大切です。
家族みんなが使いやすいバリアフリー住宅づくりを目指しましょう。
いえすたいる編集部
もうりす
食べること、歌うことが大好きウーマンです。 お休みの日は美味しいものを求めていろいろなところへ出かけています。 皆様の家づくりの参考になるような情報を発信していけたらと思っています。