2023.01.31
建てる前に要チェック!『市街化調整区域』とは? メリット・デメリットを解説。
土地や住宅の情報を調べると必ず出てくるのが『市街化区域』や『市街化調整区域』といった、都市計画用語です。
また、市街化調整区域内に実家があり、敷地内に家を建てたい方も少なくないでしょう。
果たして市街化調整区域にはどういったメリット・デメリットがあるのか、住み始めてからでは遅い注意点等を含め、お伝えしていきます。
市街化区域と市街化調整区域
街を活性化させるか、市街化を抑制させるか
左の画像のように、市街化区域は文字通り市街化を推進させる(街を活性化させる)区域を表し、市街化調整区域は、『無秩序な市街地開発を抑制させる』区域を示します。
行政が定める区域です。都市計画区域内に市街化区域、市街化調整区域が存在し、都市計画区域の定めていない区域(非線引き区域)も存在します。
市街化調整区域のメリット・デメリット
メリット(1)自然に囲まれた落ち着いた生活ができる
市街化を抑制された地域ですので、家やお店などが少ない一方、自然が残されて落ち着いて暮らすことができます。
市街地に比較的近いエリアですと、車を所有しているとそこまで不便な暮らしにはならないでしょう。
街なかならではの便利さは満足できないかもしれませんが、自然に囲まれて暮らしたい方、静かな暮らしをしたい方には適しているといえます。
メリット(2)土地の維持コスト(税等)が安い
土地に課せられる固定資産税ですが、住宅の建つエリアの地価や土地の形状等に応じて算定されます。
公示地価をご覧頂くとおわかりのように、利便性等様々な観点より価値が高いとされる土地は地価がおのずと高くなります。
街なかではない地域については、相対的に地価が下がる為、固定資産税なども安く済ませることができます。
住宅取得にかかる税金はどのくらい?学べるコラムはこちら
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メリット(3)土地が安いため、ゆとりを持った暮らしが可能
メリット(2)と関連した内容となりますが、街中に比べて土地が安いため、その分広い土地を取得しやすくなる点をご紹介します。
庭が広いと雑草などの管理が大変かもしれませんが、住宅の大きさを余裕を持たせ、庭を含めたゆったりとした暮らしをすることができます。
また、敷地を有効活用し、日常や趣味の彩りの1つに、家庭菜園や果樹園などを始めることもできるでしょう。
デメリット(1)インフラ整備が遅れやすい傾向
市街化調整区域は、原則として住宅や店舗等の建築が認められていないため、下水道や都市ガス等、整備が遅れてしまう傾向にあります。
住まわれる際はご自身で準備をしていく必要があります。
下水道が無い場合は、『浄化槽』なども準備する必要があり、負担額については予め調べておくことが大切でしょう。
デメリット(2)改築・建て替えでも許可申請をしないといけない
本来建築できない区域であるため、住宅を建てることに関する許可申請(開発許可等)が必要なことはもちろんのこと、建て替えやリフォームの際も、状況によっては許可申請を行わないといけません。
許可申請については、建設地の位置する『自治体』によって認識が異なる部分ですので、事前に確認されることを推奨します。
デメリット(3)土地の売却が難しい・住宅ローンが難しい
デメリット(2)のような許可申請が必要なため、売却後の土地活用も複雑になることで、売却に不利になることは否めないでしょう。
買い手が許可申請を行っていくため、事前に自治体への確認や、詳しい不動産会社へ相談しておくことが重要です。
また、住宅ローンの際ですが、金融機関によっては区域として認めていないこともあるようです。
住宅ローンを実行する際に、不動産に『抵当権』を設定しローン返済が出来なくなった際の担保にしますが、担保価値があまりに低い場合、返済されるべき分の確保ができなくなるため、金融機関としては消極的な傾向にあるようです。
市街化調整区域の中でも条例等で住宅を建てやすい区域でしたら、話は違うかもしれません。そのあたりも含めて、金融機関や自治体に質問しながら検討されると良いでしょう。
市街化調整区域で家を建てるには?『開発許可申請』
建設地が該当する行政庁などへ『開発許可申請(都市計画法29条)』もしくは『開発行為を伴わない建築許可(都市計画法43条)』のいずれかの申請を行う必要があります。
開発行為の有無によって申請が変わりますが、開発行為については土地の『区画』『形(盛土など)』『質(農地⇒宅地など)』の変更があった際は前者の申請となります。
いずれかに該当が必須! 許可要件をチェック(都市計画法34条)
市街化調整区域にて建築許可等を得るには、次のいずれかの基準を満たす必要があります。
14種類ありますが、住宅で参照されることの多い4種類を紹介します。
(1)第34条11号 市街化区域に隣接・近接し、一体的な日常生活圏を構成。50戸以上の建築物が連担する地域で、条例指定区域内での開発行為もしくは、予定建築物の用途が環境保全上支障ないもの
区域指定された区域内で戸建て住宅等を建てる場合が当てはまります。
(2)第34条12号 周辺の市街化促進のおそれなく、市街化区域内で困難もしくは著しく不適当な開発行為として、自治体の条例で、目的または用途を限定したもの
分家住宅(市街化調整区域に指定される前から存在する『本家』から世帯が分かれて、分家としてできる住宅)や、既存集落内での自己用住宅などが当てはまります。
(3)第34条13号 自己の居住・業務用建物を建築する、既存の権利に基づき行う開発行為
市街化調整区域の拡張などで、後から該当するようになった場合に、行政へ『既存権利届』等を提出する必要があります。
(4)第34条14号 (2)と同様の開発行為にて、開発審査会の議を経たもの
住宅というよりかは、寺社仏閣や研究施設、公営住宅等、様々な建築物・施設が該当します。
他にも10の基準のいずれかを満たすことで、建築許可・開発許可要件を満たすこととなりますが、
詳しくは建設地が該当する自治体へ相談されるのが宜しいかと思います。
まとめ
市街化調整区域のメリット・デメリットや、注意点についてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
もともと実家が調整区域内にあり、その敷地に住宅を建てる(分家)といったケースも多いかと思います。
都市計画法の手続き等、非常に複雑で規制も多いものですので、不動産会社や工務店、自治体に相談して、建築可能かを事前に聞いておくことをおすすめします。
お読みくださいまして、ありがとうございました。
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いえすたいる編集部
のぶりん
鉄道・飛行機・旅行の大好きな「のぶりん」です! 住宅の省エネや申請等に携わっています! 工務店の魅力を広くお伝えできるよう日々頑張ってまいります!