fbpx

茨城で注文住宅・リノベーションができる工務店を探すポータルサイト「いえすたいる」

2025.11.24

最終更新日 2025.11.14

【茨城・新築戸建】床暖房の省エネ計算(評価)が改正!変更点と最適解ポイントを解説

ZEHお金・住宅ローンランニングコストリビング・収納・アイデア家の構造について省エネルギー住宅長期優良住宅高気密・高断熱

2025年4月から省エネ計算プログラムが改正され、電気式床暖房に『低出力モード』が導入されました。暖房設備の評価方法が更新されたことでポイントとなるのは、最新の評価基準において、最も優れた一次エネルギー消費量(BEI)を達成できるのはどのシステムになるのか?結論としては、温水床暖房と高効率給湯器を一体化したシステムが、依然として「省エネ×快適」の最適解となります。本コラムでは、改正となった低出力モードのポイントを押さえつつ、温水式一体型システムの優位性を、「敷設率」「複数居室への適用」「断熱の重要性」という3つの視点から掘り下げます。

2025年4月からは省エネの義務化

2025年4月~原則としてすべての新築建築物に対し、省エネ基準適合が義務化されています。「外皮計算」や「一次エネルギー消費量計算」にて基準値をクリアする必要があります。

外皮計算・一次エネ計算に関してはコチラの記事もご参照ください

【2024年最新・茨城】『断熱等性能等級』『一次エネルギー消費量等級』 ~住宅の省エネ基準についてわかりやすく解説します~

2021年4月より施行された改正建築物省エネ法。300㎡未満の住宅に関しては、建築士による省エネ適合についての説明が必要となりました。 また、5年後、10年後スパンで『全ての住宅を省エネ適合させる』…

一次エネルギー消費量の省エネ基準クリアにはBEI=1.0以下である必要がありますが、より高い性能を示す誘導基準(ZEH水準とも称される基準値)では、BEI=0.8以下(基準値から20%以上削減)が求められます。誘導水準である「BEI=0.8以下(基準値から20%以上削減)」は2030年には省エネ基準値となる見込みで、それに伴い近年は「GX志向型住宅」や「GX ZEH」などで代表されるBEI=0.65以下(基準値から35%以上削減)も、目指すべき新たな指標となっています。

2025年12月より上位等級(等級7・8)の新設

2025年12月以降、現行の最高等級である「等級6」(一次エネルギー消費量削減率20%以上達成【BEI=0.8以下】)※「ZEH水準」とも称される)を上回る一次エネルギー消費量等級の上位等級が新設される予定です。

▽▽▽

【現行の最高等級 等級6】

・等級6 = 一次エネルギー消費量削減率20%以上達成【BEI=0.8以下】※ZEH水準

【等級7、8の新設】

・等級7 = 一次エネルギー消費量削減率30%以上達成【BEI=0.7以下】

・等級8 = 一次エネルギー消費量削減率35%以上達成【BEI=0.65以下】※「GX志向型住宅」「GX ZEH」基準

「一次エネ削減率」を高めるカギは暖房・給湯設備選定にあり

給湯・冷暖房設備は家庭の消費エネルギーの約6割を占めている

給湯・冷暖房設備は家庭の消費エネルギーの約6割ちかくも占めているため、冷暖房設備・給湯設備の効率化がBEI(一次エネルギー削減率)を求めるうえで大きく左右することがイメージできるかと思います。

結論:床暖房採用の場合は『温水式』『給湯器一体型』が一次エネの観点を鑑みると最適解

最初に結論ですが、床暖房を採用したい場合は『温水床暖房・給湯器一体型』が高効率な熱源機(エコジョーズ、エコキュートなど)を床暖房と給湯の両方に使用できるため、一次エネルギー消費量削減(BEI)を高めるために一番有利な仕様となります。特にエコキュート(ヒートポンプ式)と組み合わせた場合、深夜電力を利用して効率よく稼働できるためランニングコストと省エネ性能の両面でメリットが高まります。

では、「電気式床暖房」の採用はどうなのか・・・

従来は「電気式床暖房」において一次エネ削減の評価が厳しかった

まず前提として「電気式床暖房」は発電・送電ロスを考慮した一次エネルギーの換算率が高く、同じ熱量であってもガスや灯油を使う「温水式床暖房」と比較すると、計算上一次エネルギー消費量が大幅に多くなる(不利側に働く)仕様となっています。結果、電気式床暖房は高効率な熱源機(ヒートポンプなど)と組み合わせるメリットが得られず、「ZEH」や「GX」のように一次エネルギーの削減を求められる住宅を計画する際は、設計難易度が非常に高くなっています。無理やり「電気式床暖房」を採用すると、換気・給湯設備などを極端に高効率化させてしまう他、太陽光発電のパネル搭載容量も多く必要となるケースが発生することも大いにあり得るでしょう。

2025年4月から「低出力モード」評価が設定され、改善が入っているが...

2025年4月以降電気式床暖房に『低出力モード』が導入され、一次エネの評価結果(数値)が従来よりも改善されました。しかし改正後も、電気式ではなく『「温水式」床暖房・給湯器一体型システム』が「ZEH達成」において非常に有利であることには変わりはない状況です。温水式一体型は、ヒートポンプ式のエコキュートや潜熱回収型のエコジョーズといった高効率な熱源機を、給湯と床暖房の両方に共用できる点が最大の強みです。この熱源機の効率の良さが、家全体の一次エネルギー消費量削減に貢献出来るため、結果的にBEIの改善につながります。「GX達成」も物件の仕様によっては可能です。

一体型ならではのデメリットも当然ある

一体型を採用することによって発生するデメリット(懸念点)として主に挙げられるのは「給湯」と「暖房」のいずれか片方が故障してしまった場合、家の給湯暖房システム全体に影響を及ぼしてしまうリスクです。また、初期費用も多くかかる点もデメリットに入れて差し支えないでしょう。

『敷設率』が及ぼす重要な『省エネ評価』のポイント

敷設率とは?

敷設率(ふせつりつ)」とは、暖房を行う居室や空間の床面積全体に対して、実際に床暖房パネルやヒーターが設置されている面積が占める割合を示す指標です。

・敷設率(%) = 床暖房が設置されている面積(敷設面積)÷ 居室床面積全体 ×100

省エネを高めるうえで重要なのは『敷設率を高めること』

省エネ計算では、床暖房がその居室の主たる暖房設備としてどのくらい機能しているかを評価し、暖房負荷の計算に補正を加える仕様になっています。そのため敷設率が低いと補助暖房の採用が求められ、計算結果は、『暖房非効率』となります(=BEI達成が困難に)。敷設率を高めることにより床暖房が主暖房として評価され、『居室全体を床暖房だけでカバーできる設計(※)』と見なされるため、計算上の暖房エネルギー消費量は少なく設計できます(BEI達成も見込める。)

(※)暖房負荷の計算における補正係数が小さくなる

床暖房採用時は、給湯設備の高効率化と併せて、高い敷設率を活かした設計が重要なポイントになります。

推奨される敷設率

戸建ての場合、一般的に70%以上、集合住宅では60%以上の敷設率が、床暖房単独で十分な暖房能力を発揮できる(他の補助暖房なしで部屋全体を暖められる)目安とされています。

『床暖房』と『断熱』の重要性

「上面放熱率」と「階間断熱」の関係

床暖房を最大限に活かし、「一次エネルギー消費量(BEI)」を効果的に削減するためには、「熱を逃がさない」設計が大前提となります。床暖房から発生する熱は、上側(上面)と階間空間の下側に逃げてしまうため、外気に接する1階の床だけでなく、2階建ての場合は階間断熱を施すことが床暖房を設置する場合において重要な配慮になります。

『上面放熱率』を高める

上面放熱率とは、発生した熱エネルギーが、実際に暖房空間内(暖房居室内)に効率よく放出されているかを示す指標になります。そのため、2階建ての場合、階間断熱を床暖房パネルの下側に配置し、熱エネルギーが下の階や床下空間に逃げてしまうのを抑制することができます。下側(下の階や床下空間)への熱損失をできるだけ最小限に抑えることができれば、熱の大部分が暖房空間内(暖房居室内)へ向かう設計となり、省エネ計算時に『上面放熱効率』を評価してあげることで一次エネルギー消費量削減率(BEI)を向上することができます。

ZEHや長期優良住宅、GX ZEHには不利であるということ

現在省エネ性能を評価するうえで主に上げられる住宅の種類として「長期優良住宅」「ZEH」「GX志向型住宅」などが代表されるでしょう。それぞれの評価基準の詳細は割愛いたしますが、最低でも『断熱性能等級5』『一次エネルギー消費量等級6』が求められます。特に今回コラムで取り上げた『床暖房』システムを採用する場合は現状「一次エネルギー消費量」の観点ではまず不利になりますので、ルームエアコンでの暖房評価する一般的な建物と比較するとスタート地点が後ろからになってしまいます。その点は承知したうえで、なるべく評価できるポイントを抑えて省エネ計算を進める必要がありますね。GX志向型住宅になると一次エネルギー消費量等級が『等級8(2025年12月以降)』が基準となりますので、さらに難易度が高くなります。

まとめ

床暖房の採用についてはいかがでしたでしょうか。2025年省エネ基準適合義務化・2030年ZEH水準が省エネ基準化・一次エネルギー消費量等級の上位等級の設立などの動きから、今の内から高い一次エネ消費量削減(BEI削減)が重要になりそうですね。電気式床暖房の評価は2025年4月以降「低出力モード」が採用され改善されましたが、温水式・給湯器一体型が高効率熱源を活用できて依然として有利な床暖房システムになります。加えて「敷設率の検討」や、平屋では「床下断熱」、2階建てでは「階間断熱」を施す等で熱損失を防ぐ設計が必要になるでしょう。

【省エネ住宅/ZEH水準】2022年10月より認定水準引き上げ改正に!~長期優良住宅・認定低炭素住宅・ZEH(ゼロエネ)はどれを選択すべき?~

2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向け、令和4年10月1日より『長期優良住宅』『認定低炭素住宅』などの認定住宅の認定基準引き上げ(基準の見直し)が施行されました。10月以降認定住宅を建…

【子育てグリーン住宅支援事業/補助金】GX志向型住宅とは?賃貸住宅も対象?条件等と共に解説。

「子育てエコホーム支援事業」の後継事業として『子育てグリーン住宅支援事業』が報道発表されました。2024年11月22日「令和6年度補正予算案」の閣議決定により始まる本事業の新築+リフォームの総予算は2…

いえすたいる編集部

KAKUTO

最近は「洋服(特に裏原系)」と「kpop」にハマっています! 息抜きにする「読書(主にミステリ小説)」もちょっとしたマイブームです。 これから家を建てる皆様へ、少しでもお役に立てる情報発信を 私自身も日々勉強しながら更新してます!

関連の家づくり・暮らしコラム

茨城県で注文住宅を建てたい方へ