2025.07.01
新ZEHとは?GX志向型住宅と同性能の新定義?住宅は更なる省エネ化へ

2025年5月12日、経済産業省の資源エネルギー庁から「ZEHの定義見直し」に向けた新要件(案)が公開されました。2050年の脱炭素・カーボンニュートラル目標達成に向けて現行基準のZEHではなく、更なる省エネ化が進んだ住宅の普及が不可欠として、『新ZEH』が提唱された形になります。現時点では案にはなりますが、採用となれば2027年度から新基準の施行を予定しています。長いようで1年半という期間しかありません。2025年度からは「GX志向型住宅」という上位性能の住宅定義が施行されていることもあり、今後ますます住宅性能基準も高まっていくでしょう。今回はそんな『新ZEH』についてまとめていこうと思います。
どうなる?!気になる「ZEH」と「新ZEH」の性能比較
戸建て住宅での性能比較

断熱性能と一次エネ消費量等級は「GX志向型住宅」と同レベルに
現行の『ZEH基準』の「断熱性能」は等級5(「6地域の場合でUA値0.6」)、「一次エネルギー消費量等級」は等級6(20%以上削減)が要件でした。見直し案である『新ZEH基準』では「断熱性能」は等級6(「6地域の場合でUA値0.46」)、「一次エネルギー消費量等級」は等級6(35%以上削減)と強化されています。この数値は、2025年度から施行された『GX志向型住宅』の断熱・一次エネ性能と同レベルです。今までのZEH基準仕様から、断熱材の厚みやサッシの樹脂化などが主な断熱強化ポイントになります。
※BEIの数値は「太陽光などの再エネ設備」を除き、設備の高効率化で基準値から35%エネルギー削減をする必要があります。
一次エネルギー削減率は20%→35%以上と大幅に削減強化が必要
「一次エネルギー消費量」の削減率を20%から35%にあげることは意外と難しい点になります。まずは「一次エネルギー消費削減」対象項目ですが、■冷暖房設備 ■換気設備 ■給湯設備(給湯器と併せて断熱浴槽や節湯水栓など)■照明設備 が対象項目になります。現在の住宅設備はすでに基準値が高いため、20%台から35%台まで削減率を上げるとなると、現実あまり余裕をもって達成することが難しい点が悩ましいですね。比較として挙げましたが、すでに「GX志向型住宅」が発表されていることもあり、一次エネ削減率を上げるコツをまとめたコラムも掲載しておりますので、併せてこちらもご覧ください。

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断熱・設備強化の最後に『太陽光搭載容量』を検討!
断熱性能・一次エネルギー消費量削減率がクリアできたら、最後に太陽光の搭載容量を検討します。現行の『ZEH』と考え方は同じですが、『新ZEH』になると既に設備による削減率を強化している分、必要となる太陽光発電容量が少なくなります。『新ZEH+』になると余剰で15%分太陽光発電の搭載が求められる点に注意して容量検討をしましょう。

⇧2025年現在のZEH基準の考え方

⇧『新ZEH』基準の考え方

⇧『新ZEH+』基準の考え方
「HEMS」による高度エネルギーマネジメントの他、「蓄電池」の搭載が新たな要件に追加予定!
現行ZEH基準からの追加要件として出てくる予定なのが『「HEMS」と「蓄電池」の設置』になります。こちらは経済産業省より、”省エネルギー性能の向上に加え、ゼロ・エネルギー化を進めていく観点から、戸建住宅については、自家消費に資する設備の設置を求める。”という発表がされていることから、太陽光による発電と併せて、「発電した電気を貯めて使うこと」と「HEMSによる設備の統合制御による、より効率的な省エネ」で更なる省エネ化を進めていくこととなりそうですね。

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同性能である「GX志向型住宅」との違い
「断熱性能(UA値)」や「一次エネ消費量削減率(BEI)」や太陽光発電設備の搭載によるTOTALの削減率の基準値は『新ZEH』と『GX志向型住宅』とで同じになります。HEMSによる高度エネマネの採用という点も同じですね。ほぼほぼ同じ建物仕様だと考えても良いですが、一点だけ大きく違う点があります。それが『「蓄電池」搭載義務の有無』になります。『新ZEH』の場合は「蓄電池」の搭載が必須要件となる予定ですが、『GX志向型住宅』の場合は蓄電池は必須要件ではありません。
今後『新ZEH』の基準が補助金事業にも影響する?
2025年度は子育てグリーン住宅支援事業の「GX志向型住宅」が最も多く、160万円の補助金事業が展開されています。2027年度から『新ZEH』基準が設立されると仮定すると、2026年度以降は「HEMSの運用(設置だけではなく、住宅設備との制御が必要)」や「蓄電池の搭載」が補助金の要件になる、あるいは一定の強化を施した場合には補助金額の上限を上げる。などの動きで「新ZEH」基準達成住宅の導入を促す動きがみられるかもしれませんね。補助金事業につきましては随時まとめたコラムを投稿していきますので、随時ご確認ください!

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まとめ
『新ZEH』の基準要件いかがでしたでしょうか?いままでは「断熱性能」や「設備の省エネ性能」「太陽光発電による創電」などが『省エネ』の考え方でしたが、今後は更に「創った電池を貯めて、売電ではなく自家消費を促す」「HEMSによる電力制御によって省エネを効率化する」など、『エネルギーを創るだけではなく、運用する』ところまでを含めて『省エネ』になる気がしますね。スムーズに進めば2027年度から『新ZEH』基準が運用開始となった場合、約1年後だと考えるとあっという間ですよね。今の内から『太陽光と蓄電池(V2Hなども含む)のセット』を考えても良いのではないでしょうか。蓄電池=災害対策という考え方も少しずつ変わりつつありますね。
<参考資料>
経済産業省:『更なる省エネ・非化石転換・DRの促進 に向けた政策について』
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いえすたいる編集部
KAKUTO
最近は「洋服(特に裏原系)」と「kpop」にハマっています! 息抜きにする「読書(主にミステリ小説)」もちょっとしたマイブームです。 これから家を建てる皆様へ、少しでもお役に立てる情報発信を 私自身も日々勉強しながら更新してます!