2023.10.30
最終更新日 2024.08.15
2025年4月施行!待ったなし!性能(+耐震)の悪い家はもう建てられない?~『耐震等級3』のすすめ~
住宅の「省エネ化」が年々加速しているのは既にご存じのことかと思います。近年のZEH化推進により、「太陽光発電設備」の設置や、断熱材・開口部の高性能化が進んでいる今、比例して固定荷重(建物自体が持つ重さ)が増加していることも忘れてはなりません。そんな中、2025年4月より、『4号特例』が見直されて、耐震検討方法が改定します。今回の記事をご参考いただき、「性能」と「耐震」をセットでご検討いただけますと幸いです。
そもそも「耐震等級3」とは??
「耐震等級」という言葉はよく耳にするかと思いますが、その等級は1~3の3段階に分かれています。住宅の「省エネ化」がどんどんと加速していく一方、しっかりと構造の計算をしていない場合、災害時の倒壊リスクが比例して大きくなっている近年。まずは耐震等級について、こちらのコラムも併せてご覧ください。
【耐震性/等級/木造】耐震等級3とは?省エネ住宅の推進で見直される『住まいの安心と安全』
性能は最低でも『ZEH水準』を
2025年度には「断熱性能等級4」・「一次エネ消費量等級4」が適合義務化を控えておりますが、それでも先進国では最低クラスであることに変わりはありません。また、2030年には「ZEH水準」が義務化される予定としてロードマップに掲げられていることからも、住宅性能が求められることは必然でしょう。最低基準の家では、数年後、資産価値は大きく下がってしまうことが想定できます。今のうちから最低でも「ZEH」「ZEH水準」の住宅を建てられることをおすすめします。『住宅の省エネ』については以下のコラムも併せてご参照ください。
【省エネ住宅/ZEH水準】2022年10月より認定水準引き上げ改正に!~長期優良住宅・認定低炭素住宅・ZEH(ゼロエネ)はどれを選択すべき?~
【2024年最新・茨城】『断熱等性能等級』『一次エネルギー消費量等級』 ~住宅の省エネ基準についてわかりやすく解説します~
各補助金事業の対象条件でも『ZEH水準』は必須
新築住宅の補助金事業でも『長期優良住宅』『認定低炭素住宅』『ゼロエネ』が必須要件の為、補助金事業を絡めて家を建てる際の性能値は最低でも『ZEH水準』にする必要があります。今後は、さらに上位の性能等級に対して加算等の措置も考えられますね。補助金事業に関するコラムも掲載しておりますので、併せてこちらもご覧になってください。
【最新/新築最大100万円/補助金】子育てエコホーム支援事業とは?対象条件は?いつから申請可能?
【R6年度/新築最大140万円/補助金】LCCM住宅補助金についてまとめてみました(交付申請 編)
住宅の高性能化により、固定荷重・積載荷重が重くなっている
さて、住宅の省エネ化が進むにつれて、「太陽光の設置」「断熱材の強化」「開口部の高性能化」などが要因となり建物が重くなっていきます。建物が重くなるとどうなるか。なんとなくイメージできるかと思いますが、地震による影響を強く受けてしまいます。その為、耐震要件をしっかりと考えない場合、倒壊の危険や、半壊・損壊により住めない、解体を余儀なくされる。こういったリスクが高まってしまいます。住宅の省エネ性能を高めれば高めるほどに、耐震性の重要度は上がるということですね。ただ、現時点では義務化ではないため、家を建てる皆様自身がどこまで意識されるかが大変重要になります。
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最先端のエコ住宅?!LCCM住宅とは?性能や認定基準・補助金事業についてまとめました!
『耐震等級3』のすすめ
では実際に「耐震性」はどこまで検討した方が良いのか。結論からお伝えしますと、『耐震等級3』を取得されることをおすすめします。それはなぜか。ここからはおすすめする理由についてまとめていこうと思います。
『新耐震基準』『現行耐震基準』が現在の「耐震等級1」である点
まずは現在の「耐震等級1」がいつ制定された基準なのかを知る必要があります。現在「耐震等級1」となっている基準は『新耐震基準』『現行耐震基準』と呼ばれる計算方法で、それぞれ43年前、24年前に制定された計算。そこから現在までで基準はアップデートされていないということになります。
地震被災地における『耐震等級3』取得住宅
※出展:国の熊本地震における建築物の被害の原因分析を行う委員会 報告書より
※出展:建築学会によって実施された益城町中心部における悉皆調査より
※参考資料:ヤマベの木構造 著者:山辺豊彦
熊本地震(2016年4月14日発生)では、4/14と4/16にそれぞれ震度7の地震が発生しました。にもかかわらず、『耐震等級3』の住宅は2度の大きな揺れに耐えていたことも調査結果により立証されております。たとえ倒壊しなくとも、損壊により住めなくなるケースもあります。高性能になればなるほど家は重くなっていきますので、「家族を守る」ためにも、今後の家は特に耐震等級検討が重要ですね。
「耐震等級1は1度だけ地震から守る」・・・認識の違いに注意!
『新耐震基準』『現行耐震基準』の「耐震等級1」は”1度の震度6~7クラスの大地震から、あくまでも住む方の「命を守る」こと”を基準としているため、仮に2度の大地震が発生した際は倒壊するリスクは格段に上がる他、1度目の大地震で大破(全壊)・大破(全壊)まではいかずとも、損壊が大きく『住めない』状況になる。というリスクがとても高いということです。さて、建築基準法の「安全基準」と住まい手が考える「安全基準」を比較して考えた時、住まい手の皆様が思い浮かべた「安全な生活」というのは“『耐震等級3』の住宅 ”ではありませんか?
震度6以上の地震はここ10年程前から遡っただけでも30回以上起きている現実
耐震基準において「震度6強以上の地震は100年程度に1度おきる」と耐震基準上は定められています。ですが現実はどうでしょうか。気象庁の震度ベータベースによると、2011年の”東日本大震災”から2024年8月に起きた”日向灘地震”までの13年間で『震度6弱~7』の大地震は33回(内、震度6強~7は15回)も発生しています。更に”日向灘地震”では2019年に運用を開始以来初めて「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が発表されています。
地震保険料が50%割引に
『耐震等級3』を取得することによって、地震保険料が50%割引となります。仮に35年間地震保険を継続するとなると、割引額の総額は大きな恩恵をうけることとなるでしょう。逆に考えると、割引制度が設けられているくらいに『耐震等級3』はあくまでも努力義務・推奨等級であって、そこまでは考えなくても問題ないのが現状です。
「保険をかけても地震に被災しなかったら意味がない」といったご意見もあるでしょう。これは、自動車保険や健康保険も同様ですね。あくまでも『事故にあわなかったら~』『病気にならなかったら~』というのが前提の話です。『「地震も事故も病気」も無いことに越したことはありません。』ただ、何も保証できるものはないことも事実です。いくら自身が気を付けていても、起こりえる可能性を「0」にすることはできません。保険料を払うメリットデメリットは自分自身がその保険料を「投資」とみるか「浪費」とみるかの捉え方だと思います。
地震保険のお話に戻りますが、誰の意見でもなく、自身に問いかけてみてください。
何かが起きた時に「命」や「生活」を守る事を考えてみた時に『耐震等級3』『地震保険』をどう見るか。です。
『耐震等級3相当』では地震保険の割引適用外な点に注意!
『耐震等級3』に似た用語で『耐震等級3相当』という用語を聞く方もいるかもしれません。この『耐震等級3相当』は『耐震等級3』とは大きく違います。『耐震等級3相当』も実際に耐震等級3仕様で構造の計算はしています。では何が違うのか。それは「住宅性能評価機関」への申請を行っていない点です。
『耐震等級3』 ・・・構造計算を「住宅性能評価機関」へ提出し、評価をいただいた物件
『耐震等級3相当』・・・耐震等級3の構造計算はするが、「住宅性能評価機関」に提出していない物件
おなじ耐震等級を行った物件であっても、後者の場合は『地震保険料50%割引』の恩恵を受けられません。『耐震等級3』を取得する際は、併せて「住宅性能評価機関」への評価も忘れずにうけていただくことをおすすめします。
※長期優良住宅の場合は、認定申請を行う際に「耐震要件」の評価をするため、
「長期認定通知書」がそのまま耐震等級の証明書になります。
※認定低炭素住宅やZEH水準(ZEH含む)の場合は、「耐震要件」の審査がありません。
その為、別で「設計住宅性能評価」や「建設住宅性能評価」にて「耐震等級」を評価する必要がございます。
耐震等級の計算方法
「許容応力度計算」による「耐震検討」が一番『安全性が確保』されている
耐震等級の取得方法は大きく3つの計算方法がありますが、検討する項目ごとに差があり、一番『安全性を確保する』計算方法が『許容応力度計算』になります。詳細は別コラムにて掲載しておりますので、併せてご覧ください。
【耐震性/等級/木造】耐震等級3とは?省エネ住宅の推進で見直される『住まいの安心と安全』
まとめ
住宅の性能における「省エネ検討」は省エネ基準ではなく最低でも「ZEH基準」へ、併せて構造計算は「耐震等級3」の取得へ。構造計算に絡む「性能評価機関」への申請手数料含め、設計費用が増えてしまう部分はございます。経費のコストアップの懸念もあるでしょう。しかし、設計・構造面のコストアップというのはあくまでも「耐震等級1」を基準としたときの「耐震等級3」との差額です。住まい手の皆様が考える「安全性を守れる基準」というのは「耐震等級1」ではなく「耐震等級3」ではないでしょうか。構造(耐震)をどう考えるか。「性能」と「耐震(構造)」を念頭に置きながら、工務店さんへご相談し、納得のいくマイホームを作っていただけたらと思います。近年では「耐震等級3」が標準仕様とする工務店も増えてきています。さらに気になる方は『「許容応力度計算」による「耐震等級3」なのかどうか』『「耐震等級3」を第三者評価で取得しているかどうか』を確認してみても良いかもしれません。最後になりますが、地震がこないことに越したことはないと思います<(_ _)>
耐震等級を含め、長期優良住宅の認定取得もおすすめ!
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いえすたいる編集部
KAKUTO
最近は「洋服(特に裏原系)」と「kpop」にハマっています! 息抜きにする「読書(主にミステリ小説)」もちょっとしたマイブームです。 これから家を建てる皆様へ、少しでもお役に立てる情報発信を 私自身も日々勉強しながら更新してます!