2023.10.30
2025年4月施行!待ったなし!性能(+耐震)の悪い家はもう建てられない?~『耐震等級3』のすすめ~

住宅の「省エネ化」が年々加速しているのは既にご存じのことかと思います。近年のZEH化推進により、「太陽光発電設備」の設置や、断熱材・開口部の高性能化が進んでいる今、比例して固定荷重(建物自体が持つ重さ)が増加していることも忘れてはなりません。そんな中、2025年4月より、『4号特例』が見直されて、耐震検討方法が改定します。今回の記事をご参考いただき、「性能」と「耐震」をセットでご検討いただけますと幸いです。
性能は最低でも『ZEH水準』を


2025年度には「断熱性能等級4」・「一次エネ消費量等級4」が適合義務化を控えておりますが、それでも先進国では最低クラスであることに変わりはありません。また、2030年には「ZEH水準」が義務化される予定としてロードマップに掲げられていることからも、住宅性能が求められることは必然でしょう。最低基準の家では、数年後、資産価値は大きく下がってしまうことが想定できます。今のうちから最低でも「ZEH」「ZEH水準」の住宅を建てられることをおすすめします。『住宅の省エネ』については以下のコラムも併せてご参照ください。

【茨城/新築】『断熱』『一次エネルギー』 ~住宅の省エネ基準についてわかりやすく解説します~

【省エネ住宅/ZEH水準】2022年10月より認定水準引き上げ改正に!~長期優良住宅・認定低炭素住宅・ZEHはどれを選択すべき?~
各補助金事業の対象条件でも『ZEH水準』は必須
新築住宅の補助金事業でも『長期優良住宅』『認定低炭素住宅』『ゼロエネ』が必須要件の為、補助金事業を絡めて家を建てる際の性能値は最低でも『ZEH水準』にする必要があります。今後は、さらに上位の性能等級に対して加算等の措置も考えられますね。補助金事業に関するコラムも掲載しておりますので、併せてこちらもご覧になってください。

【2023年/茨城県】令和5年度地域型住宅グリーン化事業 最大補助金140万円!

【茨城/2022年度 新築省エネ補助金】こどもエコすまい・ZEH・LCCM補助金等の脱炭素に向けた補助金を解説。
住宅の高性能化により、固定荷重・積載荷重が重くなっている

引用:国土交通省「小規模木造建築物等の構造安全性に係る最近の傾向」より
さて、住宅の省エネ化が進むにつれて、「太陽光の設置」「断熱材の強化」「開口部の高性能化」などが要因となり建物が重くなっていきます。建物が重くなるとどうなるか。なんとなくイメージできるかと思いますが、地震による影響を強く受けてしまいます。その為、耐震要件をしっかりと考えない場合、倒壊の危険や、半壊・損壊により住めない、解体を余儀なくされる。こういったリスクが高まってしまいます。住宅の省エネ性能を高めれば高めるほどに、耐震性の重要度は上がるということですね。ただ、現時点では義務化ではないため、家を建てる皆様自身がどこまで意識されるかが大変重要になります。
『耐震等級3』のすすめ
では実際に「耐震性」はどこまで検討した方が良いのか。結論からお伝えしますと、『耐震等級3』を取得されることをおすすめします。それはなぜか。ここからはおすすめする理由についてまとめていこうと思います。
地震被災地における『耐震等級3』取得住宅

※『悉皆(しっかい)調査』・・・調査対象物件をもれなく調査すること
※出展:国の熊本地震における建築物の被害の原因分析を行う委員会 報告書より
※出展:建築学会によって実施された益城町中心部における悉皆調査より
※参考資料:ヤマベの木構造 著者:山辺豊彦
熊本地震(2016年4月14日発生)では、4/14と4/16にそれぞれ震度7の地震が発生しました。にもかかわらず、『耐震等級3』の住宅は2度の大きな揺れに耐えていたことも調査結果により立証されております。たとえ倒壊しなくとも、損壊により住めなくなるケースもあります。高性能になればなるほど家は重くなっていきますので、「家族を守る」ためにも、今後の家は特に耐震等級検討が重要ですね。
地震保険料が50%割引に
『耐震等級3』を取得することによって、地震保険料が50%割引となります。仮に35年間地震保険を継続するとなると、割引額の総額は大きな恩恵をうけることとなるでしょう。
『耐震等級3相当』では地震保険の割引適用外な点に注意!
『耐震等級3』に似た用語で『耐震等級3相当』という用語を聞く方もいるかもしれません。この『耐震等級3相当』は『耐震等級3』とは大きく違います。『耐震等級3相当』も実際に耐震等級3仕様で構造の計算はしています。では何が違うのか。それは「住宅性能評価機関」への申請を行っていない点です。
『耐震等級3』 ・・・構造計算を「住宅性能評価機関」へ提出し、評価をいただいた物件
『耐震等級3相当』・・・耐震等級3の構造計算はするが、「住宅性能評価機関」に提出していない物件
おなじ耐震等級を行った物件であっても、後者の場合は『地震保険料50%割引』の恩恵を受けられません。『耐震等級3』を取得する際は、併せて「住宅性能評価機関」への評もうけていただくことをおすすめします。
耐震等級の計算方法

参考資料:㈱M's構造設計 『構造塾チャンネル2023開校直前セミナー』より
許容応力度計算=構造計算 が一番安全性が確保される計算方法
一言に「耐震等級」とはいっても計算方法がいくつかあり、選択した計算方法によって検討事項にも差があります。よく聞く「構造計算」とは一般的に「許容応力度計算」のことを指し、最も細部まで検討する方法なので、一番安全性が確保される計算方法といえるでしょう。併せて、コチラのコラムもご参照ください。

【耐震性/等級/木造】耐震等級3とは?省エネ住宅の推進で見直される『住まいの安心と安全』
まとめ
住宅の性能における「省エネ検討」は省エネ基準ではなく最低でも「ZEH基準」へ、併せて構造計算は「耐震等級3」の取得へ。構造計算に絡む「性能評価機関」への申請手数料含め、設計費用が増えてしまう部分はございます。経費のコストアップの懸念もあるでしょう。「性能」と「構造」を念頭に置きながら、工務店さんへご相談し、納得のいくマイホームを作っていただけたらと思います。
耐震等級を含め、長期優良住宅の認定取得もおすすめです

『認定長期優良住宅』とはどんな住宅?認定基準は?条件は?

なぜ長期優良住宅がいいの?性能基準の改正?メリットはあるけどデメリットは?

いえすたいる編集部
KAKUTO
最近は「韓国」と「洋服」にハマっています! これから家を建てる皆様へ、少しでもお役に立てる情報発信を 私自身も日々勉強しながら更新してます!