2025.09.30
最終更新日 2025.10.05
【茨城/新築住宅】おうちの換気システムは何が良い?換気方法毎のポイントを解説します
マイホームをイメージするとき、「おしゃれなデザインにしたいな」「家族みんなでゆったり過ごせる広いリビングがいいな」等、多くの方はデザインや間取りに意識が向きがちではないでしょうか。実際に間取りはマイホームを設計するうえで非常に重要なポイントでもあります。しかし、家族の「健康や快適な暮らし」を考えた時に、とても重要なポイントがあります。それが今回のコラムで紹介する「換気システム」です。「24時間換気を回しておけば大丈夫じゃないの?」「窓を開けて換気すればいいんでしょ?」そう思われるかもしれません。もちろん、それも換気の一部です。しかし、近年の省エネ住宅は気密性が非常に高く、「高気密高断熱住宅」という言葉も良く聞くようになったのではないでしょうか。気密性が高くなればなるほど、計画的に換気を行わないと、住まいの中に溜まった汚れた空気がうまく排出されず、夢のマイホーム生活のはずなのに体に悪影響を及ぼす可能性があります。そこで、快適で健康的な暮らしを守るための換気システムの種類や選び方、そして意外と見落としがちなダクトの注意点まで、順に解説していこうと思います。
なぜ換気が重要視されるのか?まずは知っておきたい「24時間換気」の義務化制度
皆さんは「シックハウス症候群」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? 建材や家具に使われている化学物質が原因で、アレルギーの発症や「めまい」「吐き気」などの症状を引き起こす健康被害です。このような問題を防ぐため、2003年の建築基準法改正により、すべての新築住宅に“「24時間換気システム」の設置”が義務付けられました。つまり、家の中に汚れた空気が溜まらないよう、常に新鮮な空気を取り入れ、汚れた空気を排出する仕組みが欠かせないのです。特に、近年の住宅は「気密測定」で数値化、高気密・高断熱が当たり前の時代に。隙間が少ない分、冷暖房効率は高まりますが、その分空気が自然に入れ替わりにくくなります。その為『計画的な換気』がより一層重要になっています。
住宅の換気システムは3種類!それぞれの特徴を紹介します
第1種換気(給気・排気ともに機械で行う)
メリット
住宅全体の空気の流れをコントロールしやすく、常に計画通りの換気が可能な点が第一種換気の特徴になります。換気の際に「熱交換」を搭載した全熱交換型換気のタイプも多く、屋内外の空気の温度差を抑えて空気の入れ替えを行うことができるため、冷暖房効率が大幅に向上します。結果として年間の光熱費を抑えることが可能です。また、給気口には2層のフィルターを通して室外空気の汚れ(虫やPM2.5、花粉など)を取り除いたうえでことができるため、自然給気よりも汚れが多く入りやすい懸念がある機械給気であっても室内へきれいな空気を提供できます。
デメリット
特に、給排が機械であるのと、ダクト配線等設備が複雑になるため、他の換気システムに比べて初期費用が高くなる点は承知しておきましょう。また、基本的には常にファンを機械的に稼働させるため、電気代は第二種・第三種換気と比較すると高くつくことが予想できます。その分、快適性や健康面のメリットにつながりますね。ここは共通事項にはなりますが、定期的なフィルター清掃や交換が必要になるため維持管理に手間はかかります。
第2種換気(給気は機械で行い、排気は自然に行う)
メリット
機械で強制的に給気を行うため、室内の気圧を外気よりも高くさせる換気方法です。これにより、空気の性質(気圧が高いことろから低い所へ移動する性質)を活かし、外部からのホコリや花粉、汚れた空気が室内に侵入しにい構造にできる点が大きな特徴です。この特性から、病院はじめ、なるべく清潔な室内空気質を保ちたい建築物へ採用されることが主な換気方法になります。
デメリット
室内の気圧を外気よりも高くさせる換気方法を住宅で採用すると、湿気が壁内部に侵入しやすくなり、壁内結露を引き起こすリスク(耐震構造の劣化やカビの発生などにつながるリスク)があるため、住宅での採用は大きなデメリットとなりやすい換気方法です。よって一般的には採用されることが少なく、「第一種」もしくは後述の「第三種」換気が、住宅で多く採用される換気方法になります。
第3種換気(給気は自然に行い、排気は機械で行う)
メリット
構造が複雑ではないため、第1種換気や第2種換気に比べて初期費用を抑えることができる点が特徴です。また、室内の気圧が外気よりも低くなるため、壁の隙間などから外部の冷たい空気が侵入する際に、結露が発生しにくいというメリットもあります。
デメリット
第三種換気は気密性が低いと効率が悪く、計画的な給気が難しくなります。窓を開けるシーンも含め、室内の気密性が保たれなくなっている室内では、換気ムラが起きてしまい、計画換気ができなくなる点が弱点です。また、第一種換気で多く採用される「熱交換」の搭載ができないため、冬場は冷たい外気が、夏場は暖かい外気がそれぞれダイレクトに室内に入ってきてしまうため、室内外の温度差が広がり、冷暖房の効率を悪くしてしまう可能性があります。また、自然給気となるため、定期的なフィルターの清掃などを怠ってしまうと、外気の汚れがそのまま室内に入ってきてしまう可能性があるため注意が必要です。
参考~一次エネルギー消費量について~
今回、「第一種」~「第三種」換気それぞれの特徴を紹介させていただきました。ここからは参考ですが、少し違った角度からも比較してみようと思います。近年、GX志向型住宅などをはじめとする高性能住宅では、「一次エネルギー消費量削減率」を『35%以上』と定義づけています。現在の計算方法では住宅の気密性脳は計算には含まれないため、単純に計算数値だけでは住宅の快適性や生活の質まで図ることができません。難しいポイントではありますが、今後住宅の補助金を取得しながら新築を建てたい場合は、どうしても避けては通れない基準値になります。では、住宅で多く採用される「第一種」と「第三種」換気ではどちらが一次エネルギー削減率では有利となるのでしょうか?
「換気設備」自体は「第三種換気」が一番省エネ
「第一種」と「第三種」換気の特徴からして、なんとなくイメージできる方もいるかもしれませんが、「第一種」換気は常に機械的に給気・排気を行うため、電気の消費エネルギーを最も使う換気方法となります。そのため、「第三種」換気と比較すると「換気設備」の一次エネルギー消費量削減率は「第三種」換気に軍配が上がります。
「熱交換」を採用すると「冷暖房効率」を削減でき、トータルでの削減率を高めることができる
「第三種」換気を採用することで「換気設備」の削減率を高めることができますが、「第一種」換気を採用することによるメリットは特徴でも紹介させていただきました通り、多く採用される「熱交換」です。「熱交換効率」の良い「第一種」換気を採用することにより、換気設備単体でのエネルギー消費を図ることは難しいですが、『冷暖房設備の省エネ』という観点で有効になります。機械的な計画換気で電力は消費してしまいますが、設備全体での消費率を図ることができるので、「第一種」換気採用の場合は『熱交換の採用』と『熱交換効率の良い製品の採用』がポイントになりますね。
新築補助金の紹介
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まとめ
今回は換気の種類についてまとめてみましたがいかがでしたでしょうか。高気密高断熱住宅化が進む今日、「第一種」~「第三種」換気それぞれの特徴を知れば、自分たちが求める生活水準に対して、必要な換気方法もなんとなくイメージできるのではないかと思います。窓なども開けたい(一時的に気密性能を落とす)、多少費用が掛かっても家全体の換気ムラなく過ごしたい場合は「第一種」換気、初期費用を抑えながらもある程度の換気効率を求めたい場合は「第三種」換気、(窓の開放などに注意。気密性能を落とすと計画換気がうまくいかなくなります。)それぞれの特徴を理解して、工務店へご相談してみてはいかでしょうか?次回は、なぜ近年「熱交換採用の換気が注目・推奨されているのか」についてまとめていきたいと思います。

いえすたいる編集部
KAKUTO
最近は「洋服(特に裏原系)」と「kpop」にハマっています! 息抜きにする「読書(主にミステリ小説)」もちょっとしたマイブームです。 これから家を建てる皆様へ、少しでもお役に立てる情報発信を 私自身も日々勉強しながら更新してます!