なぜ日本ではシロアリ被害が多いのか。どんな対策方法があるのか？などについて前回のコラムでまとめていますので、併せてご覧いただけますと幸いです。

シロアリの好む環境は湿度が高く、暖かい場所です。そして、高気密高断熱住宅は外気の影響を受けにくく、年間を通して比較的安定した温度と湿度を保つことができるため、人間の住環境において高気密高断熱住宅は大変なメリットなのですが、実はシロアリにとっても年間を通して快適な環境になりやすいという注意点があります。その為、現代のトレンドでもあり今や当たり前になりつつある「高気密高断熱住宅」であればあるほど、シロアリ対策の重要度は比例してあがっていくという事になります。

EVA樹脂（ポリエチレン樹脂+酢酸ビニールの複合体）でできたシートで、主に「殺虫」ではなく、『忌避』を基本とした防蟻工法。基礎下にこのKIHIシートを敷くことにより、家の中へ侵入してしまった白蟻の殺虫・駆除ではなく、『そもそも侵入させない』のがポイントです。これにより、土壌や室内環境を汚さないというメリットもあります。シートの構造（厚み0.18mmと厚く、引張強度・伸度が高い）上、カビ・バクテリア等による生物分解が無く、地中へ施工する為、紫外線分解もない。含有する薬剤である「ビフェントリン※」は水に溶けにくい性質の為、『長期にわたって防蟻性能の維持が可能』という点が大きなメリットです。

基礎の上部に「忌避性のある防蟻シート（バリアボム）」を貼ることにより、基礎外側からの害虫の侵入を防ぎます。こちらも含有する薬剤として「ビフェントリン※」を採用し、『長期にわたって防蟻効果を維持しやすい』特徴があります。

こちらは防蟻用の吹付ウレタンフォームになります。白蟻が侵入しがちな配管穴やコンクリートの亀裂などに充填することにより、隙間にも防蟻効果を発揮し、徹底的に侵入させないように対策を行います。

※ピレスロイド系ビフェントリンは防疫殺虫剤で使用される成分で、WHO（世界保健機関）が設定した、人体に安全性能が高く、高い効果がありながら環境にも影響がない薬剤として認定されています。

忌避性を基本とした防蟻対策３点セットを施工することによって、担保会社の「初期保証20年」を受けることが可能となります。更にそこからは「有償」とはなってしまいますが10年毎の保証があり、最長で60年間のシロアリ保証（点検・再防蟻施工等）を受けることが出来ます。長期優良なストック型住宅が少しずつ定番化してきた今日、ここまでの保証期間で防蟻保証をうけられるのはとても大きなポイントですね。

今回はおすすめの防蟻対策についてまとめてみました。「高気密高断熱住宅」と「シロアリの好む環境」は悪い意味で相性抜群です。となると、住みやすい住環境をつくることは、比例してシロアリが好む環境になるといいっても過言ではないので、今まで以上に『防蟻対策』が実は重要ということになりますね。いくら耐震がよくても根本からシロアリにやられてしまっては本末転倒です。建物も現在はストック志向になってきていますので、長期間にわたって「防蟻対策」が受けられるのは非常に「暮らしに安心感」をもたらすでしょう。是非住宅性能だけではなく、防蟻対策にも意識を向けていただけたらと思います。

【参照資料】

■防蟻革命～シロアリ対策は「駆除」から「侵入させない」時代へ～

「高気密高断熱住宅」はいわば「省エネ住宅」とも読み替えることもできます。断熱性能や気密の良い住宅の基準値は年々変化しており、2027年度にはZEHが『新ZEH』として生まれ変わる予定！2025年度から始まった「GX志向型住宅」はもちろん、この『新ZEH』にも要注目です。