2024.11.29
最終更新日 2024.11.29
【2024~2025年版】これからはどんな省エネ住宅を建てればいいの?~Vol.2~
2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、現在住宅業界でも様々な取り組みが行われています。特に2021年以降は急激に変化が訪れ、法改正や基準改定など、目まぐるしい変革期となっています。そうした中、どんな住宅を建てるのがいいのか。いままで掲載したコラムなどを含め、何部かに分けたシリーズにてご紹介していこうと思います。前回のVol.1では現在の住宅業界や外部環境についてまとめてまいりましたので、それをふまえ、どんな住宅を目指していけばいいのかについて、Vol.2の今回は『断熱』についてフォーカスし、まとめていこうと思います。
前回掲載のコラム(現在の住宅業界や外部環境)
前回は現在の住宅業界や外部環境についてまとめております。本コラムの前にご一読いただいた後、戻ってきていただけると嬉しいです。
【2024~2025年版】これからはどんな省エネ住宅を建てればいいの?~Vol.1~
これからの住宅で意識するポイント~断熱性能~
推奨は断熱性能等級6以上~最低でもZEH基準はクリアしたいライン~
理由①今後の住宅省エネ基準見直し案
Vol.1でも述べさせていただきましたが2022年には上位等級として「断熱性能等級6」「断熱性能等級7」が設定されたほか、認定長期優良住宅、認定低炭素住宅、認定性能向上住宅の性能基準値が「ZEH水準」にあたる「断熱性能等級5」「一次エネ消費量等級6(BEI=0.8以下)」に引き上げられています。そしてすぐ2030年には『「断熱性能等級5」「一次エネ消費量等級6」が最低基準になる予定です。住宅性能値は先を見た住宅を建てないと、すぐに『基準不適合住宅』となってしまい、資産価値のない家になってしまう可能性がありますので、今の内から先を見据えた住宅性能で検討されることをお勧めします。
高断熱住宅の『Heat20』『LCCM住宅』『ZEH』とは? わかりやすくお伝えします!
理由②体感温度と健康指標
上の図は断熱性能等級別の室内温度をサーモグラフで可視化した資料になります。これをみていただくとわかる通り、2030年基準義務化予定の『ZEH水準』の断熱性能の住宅の床温度は18℃と、『高性能住宅』や『ZEH性能』といわれる割にはちょっと物足りなさを感じる温度です。むしろ足元などは寒さすら感じる可能性があります。それに比べて2022年に新設された『断熱性能等級6』まで上げると、床温度は22℃となり、室内環境が快適なものとなっています。
また、イギリスの英国保険省イングランド公衆衛生庁「イングランド防寒計画(Cold Weather Plan for England)2015.10」によれば、英国は既に2015年の時点で住宅の室内温度環境で推奨される最低温度を「18℃」と制定しています。日本は2030年を迎えるまでは「断熱性能等級5」は義務化されず、2025年4月から義務化される断熱性能等級4は床温度16℃と、「呼吸器疾患に影響がある」と言われる環境が義務基準というのが現実です。
このことからも断熱性能等級5(ZEH基準)は最低でもクリア、できれば断熱性能等級6を目指すのがこれからの住宅においては重要なポイントではないでしょうか。
地球環境の変化~断熱は‟寒さ”対策から‟暑さ”対策へ~
皆さんも痛感している「記録的猛暑」が毎年当たり前のように更新される近年。いずれ「冬」がなくなってしまうのではないかと本気で感じるほどに「暑い」時期が長くなっています。一昔前までは、『熱帯夜』や『猛暑日』などと呼ばれる日(や気温)がなく、断熱性能の強化は『冬の寒さ』対策が重要なポイントでした。
ですが、前述した通り、現代は『夏の暑さ』対策が特に重要になってきています。そして、特に対策として重要なキーポイントになるのは『窓』の断熱性能です。
「窓」にフォーカスしたコラム
省エネ住宅で快適に過ごすカギは「窓」と「太陽光発電」にあり! vol.1
【先進的窓リノベ2024事業/内窓設置】補助額50%相当!?お得な今のうちに窓のリフォームしませんか?「窓」が省エネに重要な理由とは?
「熱の出入りは『窓』が6~7割を占めている!」
「夏の暑さ対策しないと大変…けど電気代が気になる…」
▽
エアコンに関する対策が大半を占めるが…
「断熱効果を感じたのは『窓の断熱』だった!」
このように、「窓」が断熱効果において重要と言われるポイントを上記コラムにて掲載しておりますので、是非こちらもご覧いただけますと幸いです。
補足~『断熱性能等級』と『HEAT20』について~
「断熱性能等級」や「HEAT20」についてのコラムも是非
高断熱住宅の『Heat20』『LCCM住宅』『ZEH』とは? わかりやすくお伝えします!
【2024年最新・茨城】『断熱等性能等級』『一次エネルギー消費量等級』 ~住宅の省エネ基準についてわかりやすく解説します~
【茨城/新築】『断熱等性能等級』『一次エネルギー消費量等級』 ~住宅の省エネ基準についてわかりやすく解説します~ Vol.2
ここまで「ZEH基準」や「断熱性能等級5~6」などと述べさせていただきましたが、この性能等級、実は表にしてみると「4地域(代表都市:秋田県)」から「7地域(代表都市:鹿児島県)」まで実際の温暖差があるにもかかわらず、ZEH基準の断熱基準が「同じ」という事が分かります。東北地方から九州地方まで日本本州ほぼ全域でZEHは「同じ基準」なのです。この背景には準寒冷地と呼ばれる地域が設定されていることで基準値が緩和されていることなども影響しているのではないか。との推測もできるのですが、この数値を見てもやはり容易に『「ZEH基準」を達成しているから快適』とは言いきれないのかなと思います。
また、国の制定する断熱性能等級とは別に、日本が世界的に見て決して高いとはいえない住宅の省エネ基準(断熱・一次エネルギー消費量)に対して、環境問題や快適性等に配慮した、高断熱住宅の基準を作ろうと動き出し、できたのが「HEAT20※」と呼ばれる委員会です。
このHEAT20では、「地域補正」とよばれる建設地の最寄りのアメダス観測所(約800地点)の気象データに基づき、必要な断熱性能値を地域毎に補正して求めるため、より精緻に建設地に見合った断熱性能を確保できます。6地域など、代表都市を軸にした断熱性能値を採用した場合、代表都市よりも温暖な地域では必要性能に対してオーバースペックとなっているという場合もあるという事です。静岡県の浜松市を例にすると、「6地域」に値した際、G2グレードが0.46(断熱性能等級6の基準と同じ)なのですが、実際の気象データを基にした精密数値では「0.51」をクリアすることで、浜松市の必要性能基準を満たす事を表しています。注意が必要なのは、あくまでも地域補正ということになりますので「断熱性能等級6」を達成できるわけではないという点です。
※「HEAT20」・・・『2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会』の略称
まとめ
さて、Vol.2では「断熱」についてフォーカスさせていただきましたがいかがでしたでしょうか。近年はよく聞く『住宅省エネキャンペーン』などで「ZEH水準の家を建てれば補助金が受けられる。」というイメージも強く根付いているかと思います。しかし、これからの『住宅』に目を向けた時、ZEHはあくまでも最低基準であって、世界を見ても今回英国を例に出させていただきましたが、2015年には既に「ZEH基準」は最低限ラインになっています。皆さんがマイホームで夏涼しく、冬は暖かい、一年を通して快適に過ごしたいと思う住宅は、2022年に新設された「断熱性能等級6」を達成、もしくはHEAT20の地域補正によって求められた数値の断熱性能を有した住宅ではないでしょうか。これはあくまでも一つの考え方や理想ですので、現実的に見た時にコスト面であったり、取り巻く環境等、色々とご検討いただいたうえで、住宅選び、マイホーム計画を立ててみてはいかがでしょうか。次回は「性能評価」や「ZEH・LCCMの比較」についてまとめてみようと思います。
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いえすたいる編集部
KAKUTO
最近は「洋服(特に裏原系)」と「kpop」にハマっています! 息抜きにする「読書(主にミステリ小説)」もちょっとしたマイブームです。 これから家を建てる皆様へ、少しでもお役に立てる情報発信を 私自身も日々勉強しながら更新してます!