2024.10.31
【2024~2025年版】これからはどんな省エネ住宅を建てればいいの?~Vol.1~
2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、現在住宅業界でも様々な取り組みが行われています。特に2021年以降は急激に変化が訪れ、法改正や基準改定など、目まぐるしい変革期となっています。そうした中、どんな住宅を建てるのがいいのか。いままで掲載したコラムなどを含め、何部かに分けたシリーズにてご紹介していこうと思います。是非、最後までご覧いただけたたら幸いです。
まずは現在の住宅業界や外部環境の動きを知る必要がありそうです
これからマイホームを検討される方はどんな家を建てるのがいいのでしょうか。
まずは現在から先の住宅業界や外部環境の動きをまとめてみましょう。
2021年以降は住宅業界で規制強化が連続
2022年には上位等級として「断熱性能等級6」「断熱性能等級7」が設定されたほか、認定長期優良住宅、認定低炭素住宅、認定性能向上住宅の性能基準値が「ZEH水準」にあたる「断熱性能等級5」「一次エネ消費量等級6(BEI=0.8以下)」に引き上げられました。
そして来年2025年4月からは「省エネ基準」が義務化される(「断熱性能等級4」「一次エネ消費量等級4(BEI=1.0以下)」)他、すぐ5年後の2030年には「ZEH水準」が義務化される(「断熱性能等級5」「一次エネ消費量等級6(BEI=0.8以下)」)予定です。住宅性能値は先を見た住宅を建てないと、すぐに『基準不適合住宅』となってしまい、資産価値のない家になってしまう可能性がありますので、今の内から先を見据えた住宅性能で検討されることをお勧めします。
【省エネ住宅/ZEH水準】2022年10月より認定水準引き上げ改正に!~長期優良住宅・認定低炭素住宅・ZEH(ゼロエネ)はどれを選択すべき?~
BELS評価書などの「住宅性能表示」の取得が重要に
また、2024年4月からは「住宅省エネ性能表示制度」が施行され、賃貸や分譲、買取再販住宅などで、現在努力義務ではありますが性能表示が導入されています。※注文住宅:現状取得は任意です
今後は「省エネ性能表示」のある家とない家の二極化になり、新たに住宅の価値を「性能面」で比較する時代になっていくでしょう。お勧めは『BELS評価書』の取得です。「自宅でかかる目安光熱費」も一目で分かりますし、補助金取得時の証明書となる他、住宅ローン控除に申請する際の性能根拠書類としてBELS評価書があることによって、審査時間がスムーズになる等、様々なメリットもあります!万が一家を手放すこととなったとしてもBELS評価書があることで、省エネ性能を掲示できるのは大きいですよね。
【最新】2024年4月よりBELS評価書が改定!性能表示の「自己評価型」「第三者評価型」とは?性能や目安光熱費なども一目でわかるように!!
金利のある世界へ
2024年3月19日に17年ぶり利上げで『マイナス金利政策解除』となり、「2%物価安定目標持続的・安定的に実現の見通せる状況になった」政策金利-0.1%→0〜0.1%(≒短期プライムレート)と、日銀の植田総裁から発表がありました。
また、同年7月30・31日の金融政策決定会合にて、日銀はさらに利上げ。今回の利上げにより、2024年10月には一部の金融機関で変動金利が0.15%引き上げとなっています。また、長期国債買入れの減額計画も発表され、長期的目線含め、金利上昇の可能性が強くなっています。
あくまでもイメージにはなりますので、実際どんな発展になるかは不明ですが、
所得問題と併せて、大きな問題になる可能性がありますね。
(そもそも家をたてるという選択肢が無くなってしまう可能性)
<引用>「金利のある世界」への日本経済の適応力(みずほリサーチ&テクノロジーズ)
https://www.mizuho-rt.co.jp/publication/report/2023/pdf/report231121.pdf
ウッドショックの影響はもうない??
需要の急増:米・中で住宅の需要過多に。感染対策で自宅購入▷在宅勤務も増加
供給の制約:EUのロックダウン・米の大規模山火事
国際情勢:ロシア・ウクライナ情勢による原油価格の高騰や歴史的な円安
~日本への影響~
日本は木材自給率が約40%と低く、輸入に依存している他、円安経済に。2022年以降は木材価格も下降傾向に入り、2023年には木材価格高騰がピークを過ぎたとの見方もあるが、依然として以前の水準には戻ってはいないのが現状です。結果的に、「今建てるのが一番お得」となりそうですね。。
耐震問題~進まない耐震基準~
2024年年始に発生した能登半島地震で露呈した「新耐震基準」「現行基準」の現実ですが、その中身は「43年前」「24年前」からそれぞれ基準値は変わっていません。2025年4月から『法改正』により「四号特例の廃止」▶「構造仕様」の審査 が義務化されますが、それでも決して安心とは言い切れません。『耐震等級3』の取得を検討されることをお勧めします。
2025年4月施行!待ったなし!性能(+耐震)の悪い家はもう建てられない?~『耐震等級3』のすすめ~
追い打ちをかけるように「地震保険」が過去最大幅の値上げ
2024年10月から過去最大の全国平均13%の引き上げ改定となりました。値上の理由としては相次ぐ自然災害で保険金支払いが急増していることや、資材価格上昇・人件費上昇による修理費高騰を反映した形で、引き上げは直近6年間で4度目となり、引き上げ幅は過去最大となっているようです。既にマイホームを購入され、地震保険をかけている方も、更新時には要確認が必要だと思います。地震保険料は、住宅の構造が「耐震等級3」である場合は保険料「半額」が適用されますが、『長期優良住宅の認定取得』や『設計住宅性能評価の耐震評価取得』などの、第三者による公的書類があることが前提になります。
『「耐震等級3」の要件で構造計算をしている住宅』だけの場合は、『耐震等級3相当の住宅』とみなされ、割引の対象外となってしまいますので、その点も注意が必要です。
まとめ
まずは現在の住宅業界や外部環境についてまとめてみました。住宅業界は2050年カーボンニュートラル・脱炭素達成に向けて、2022年からめまぐるしい変革期が訪れています。住宅性能基準の引き上げも行われ、断熱性能等級も上位等級が生まれました。また、省エネ性能表示制度の施行により、『住宅性能』という観点から住宅を比較する時代にもなっていくでしょう。どんどんと「住宅の省エネ性能」に関心が高まっていきます。同時に無視できない問題が、「ウッドショックによる価格高騰」「金利上昇(住宅ローン絡み)」「耐震問題」などです。まずは現状を知っていただいたうえで、次回は、どんなことを意識した住宅を計画していくのか。用語なども踏まえて、お送りしていきたいと思います。
いえすたいる編集部
KAKUTO
最近は「洋服(特に裏原系)」と「kpop」にハマっています! 息抜きにする「読書(主にミステリ小説)」もちょっとしたマイブームです。 これから家を建てる皆様へ、少しでもお役に立てる情報発信を 私自身も日々勉強しながら更新してます!