2022.07.29
最終更新日 2023.12.26
『認定長期優良住宅』とはどんな住宅?認定基準は?条件は?
『認定長期優良住宅』。どこかで名前は聞いたことがある方も近年は多くなってきたのではないでしょうか?平成21年よりはじまったこの認定住宅、令和2年度終了時点で認定実績は120万戸を超えました。そんな住宅の一番の特徴はその名の通り、「長期に渡って優良」な住宅です。本コラムではどうすれば『長期優良住宅』と認定されるのかをまとめていきたいと思います。
長期優良住宅の定義
国土交通省のページでは
” 長期優良住宅は、長期にわたり良好な状態で使用するための措置講じられた優良な住宅です。長期優良住宅の建築及び維持保全の計画を作成し、所管行政庁に申請することで認定を受けることができます。 ”
国土交通省HP:長期優良住宅のページより引用
と記載されています。簡単に言うと、都道府県知事もしくは市町村長に「あなたの家は長い期間を安全に快適に暮らせる家です!」と正式に認定をもらった家が「長期優良住宅」というわけです。
令和2年度は新築の25%が「長期優良住宅」の認定を取得
認定制度が開設された平成21年(2009年)は新築56,146戸が長期優良住宅の認定を取得し、新設住宅着工数に対する割合は「17.6%」だったのに対し、直近の令和2年度は新築100,503戸が長期優良住宅の認定を取得し、新設住宅着工数に対する割合は「25.5%」まで伸びています。
参照:国土交通省HP(長期優良住宅の認定状況について)
では、実際に都道府県知事もしくは市町村長に「あなたの家は長期優良住宅です!」と認定をもらうためにはどんな家を建てる必要があるのでしょうか?
長期優良住宅の認定取得の方法は?
認定の受けるためには「9つ」の技術的基準をクリアする必要があります
順に「劣化対策」、「耐震性」、「維持管理・更新の容易性」、「省エネルギー性」、「居住環境」、「住戸面積」、「維持保全計画」、「可変性」、「バリアフリー性」の9つの基準があります。それぞれの項目について確認してみましょう。
基準1~劣化対策~
建物の構造躯体の部分に用いられる木材の白蟻対策等、住宅が3世代(75〜90年)以上、耐久できる・長持ちさせるための対策が講じられていること。~劣化対策等級3~
[木造]床下空間の有効高さを330mm以上に。床下及び小屋裏の点検口設置。
基準2~耐震性~
「構造計算」や「壁量計算による耐震等級3以上」の取得。耐震等級についてはこちらのコラムも併せてご覧ください。
【耐震性/等級/木造】耐震等級3とは?省エネ住宅の推進で見直される『住まいの安心と安全』
基準3~維持管理・更新の容易性~
構造躯体に比べて耐用年数が短い内装や設備について、
維持管理を容易に行うために必要な措置が講じられていること
維持管理対策(専用、共用配管)等級3、更新対策(共用排水管)等級3
基準4~省エネルギー性~
2022年10月以降は認定基準がZEH水準に!
2022年10月以降、『ZEH水準』と称される「断熱等性能等級5(水戸市の場合は5地域:Ua値0.60以下)」かつ「一次エネ等級6(20%以上の一次エネルギー消費量削減)」が必要に。詳細は下記コラムをご参照ください。
【省エネ住宅/ZEH水準】2022年10月より認定水準引き上げ改正に!~長期優良住宅・認定低炭素住宅・ZEH(ゼロエネ)はどれを選択すべき?~
【2024年最新・茨城】『断熱等性能等級』『一次エネルギー消費量等級』 ~住宅の省エネ基準についてわかりやすく解説します~
どのくらい「省エネ」なのかはBELS評価書があれば一目瞭然!
わが家がどのくらい「省エネ住宅」なのかの指標は「BELS評価」があると簡単にわかります!こちらのコラムもご参照いただき、評価取得もご検討してみてはいかがでしょうか。
【2024年版・茨城】BELSとは何かご存知ですか? ZEHとの違いや、星の数による省エネ表示など、丁寧に解説します!
基準5~居住環境~
良好な景観の形成その他の地域における居住環境の維持及び向上に配慮されたものであること
地区計画、景観計画、条例によるまちなみ等の計画、建築協定、景観協定等の区域内にある場合、調和を図ること。
※申請先の所管行政庁に要確認
【2024年最新版】県庁所在地『水戸市』に家を建てて住む魅力とは?
人口増加率全国1位!(2023発表) 『つくば市』 ~そこで暮らす魅力とは~
基準6~住戸面積~
良好な居住水準を確保するために必要な規模を有すること
[一戸建ての住宅]・75㎡以上 ※少なくとも一階の床面積が40㎡以上
※所管行政庁が別に定めている場合、その条件を満たすこと
基準7~維持保全計画~
建築時から将来を見据えて、定期的な点検・補修等に関する計画が策定されていること
住宅の◆構造耐力上主要な部分◆雨水の侵入を防止する部分◆給水又は排水のための設備
※3項目について少なくとも10年ごとに点検を実施すること
共同住宅・長屋の場合に限り『可変性』『バリアフリー性』も基準に
基準8~可変性~
居住者のライフスタイルの変化等に応じて間取りの変更が可能な措置が講じられていること
躯体天井高さ2,650mm以上
基準9~バリアフリー性~
将来のバリアフリー改修に対応できるよう共用廊下等に必要なスペースが確保されていること
高齢者等配慮対策(共用部分)等級3 ※一部、基準除く
まとめ
長期優良住宅とはどんな家なのか、長期優良住宅にするには何をすればよいのかについて書かせていただきました。脱炭素・カーボンニュートラルの背景より、住宅の省エネ化はどんどん進んでいきます。そして現在、省エネ化が進むにつれ、家自体が重くなっていくことが懸念されております。省エネ基準の引き上げと同じく、現在の「壁量耐震等級2以上」という基準についても、近い将来見直される予定です。ただ性能の良い家に住むだけではなく「長い期間を安全に快適に暮らすことのできる家」であることは、省エネ化が進むにつれ、ますます大きなメリットだと思います。長期優良住宅のメリット・デメリットについてもまとめておりますので是非、併せてご一読いただき、ご検討してみてはいかがでしょうか?
引用:一般社団法人住宅性能評価・表示協会「長期優良住宅の技術基準の概要について」
引用:国土交通省「長期優良住宅に係る壁量基準の見直し」
なぜ長期優良住宅がいいの?性能基準の改正?メリットはあるけどデメリットは?
いえすたいる編集部
KAKUTO
最近は「洋服(特に裏原系)」と「kpop」にハマっています! 息抜きにする「読書(主にミステリ小説)」もちょっとしたマイブームです。 これから家を建てる皆様へ、少しでもお役に立てる情報発信を 私自身も日々勉強しながら更新してます!