2020.11.30
住宅に太陽光発電を導入しようvol.2~メリット・デメリット編~
太陽光発電システムの設置について前回のコラムで発信させていただきました。太陽光に興味はあるけれど良い部分・悪い部分も知って検討したいという方もいらっしゃると思います。そんな中、今回のコラムでは前回コラムの最後にふれさせていただきました「パワーコンディショナー」や「電力モニター」、「売電」、「導入コスト」など太陽光パネルの設置の他にも必要な事柄についてメリット・デメリット形式でまとめていけたらと思っています。
前回のコラムはこちら
住宅に太陽光発電を導入しようvol.1~設置編~
『太陽光パネル』『パワーコンディショナー』『電力モニター』の3種セットで『太陽光発電システム』とも総称されます
パワーコンディショナーがあることで自宅で電気を使うことができる!
パワーコンディショナーは、太陽光発電で「創られた」電気を家庭で使える電気に変換する重要な役割を持っています。実質これなくして太陽光で発電した電気は自宅で使うことができません。
なぜかというと、普段家の中で使用している家電製品は、電力会社から送電される「交流電力」という電気をエネルギーとしています。しかし、太陽光パネルで発電した電気は「直流電力」なので、せっかく創った電気も家の中で使うことができません。そこで登場するのが、
パワーコンディショナーです。パワーコンディショナーを介すことによって、
※「直流電力」から「交流電力」へ変換できます。
※注目ポイント:「直流電力」から「交流電力」への変換効率は100%ではない点に注目
住宅用太陽光発電システムで使用されるパワーコンディショナーの変換効率は一般平均で95~97%です。変換効率が高いパワーコンディショナーであるほど太陽光パネルで発電したエネルギーを有効活用できています。
電力モニターを設置して発電量と消費量を「見える化」
加えて、こちらは『必須条件』ではないですが、電力モニターを設置することでより「どのくらい発電していて、どのくらい消費しているか」がわかるようになります。使用量と消費量を『見える化』することによって「どこに一番電気を消費しているか」もわかるようになるので自然と節約・省エネすることが可能となります。ちなみに、「一次消費エネルギー」と総称される照明、換気、給湯、エアコンなどの使用電力を、太陽光発電で全て補うのが条件のひとつとなっており、「使う電力より創る電力が多くできた」家が『ZEH』と呼ばれます。
光熱費0を目指すZEH(ゼッチ)にするには?Vol.1~メリット・デメリットをわかりやすく解説~
太陽光発電の大きく3つのメリット
メリット① まずはココ!環境に優しい太陽光発電
私は太陽光発電において最もメリットだと重要視しているのは『環境に優しい』ということです。「Co2を排出しない発電方法」で地球の未来を守る意識を持つこと。大袈裟ですが、簡単に言えば「太陽光発電を導入すること」そのものが第一歩でもあります。先に挙げました「電力モニター」で発電と消費電気を管理することによって、おのずと「節電意識」も高まるのではないでしょうか。
メリット② 災害時の太陽光活用
集中豪雨や地震、台風などによる突風や停電・・・。日本を取り巻く自然災害はここ数年、毎年のように猛威を振るってきます。特に停電が発生すると、ライフラインに大きな影響を及ぼします。オール電化住宅はもちろんですが皆さんも所持している「スマートフォン」も、モバイルバッテリーの残量頼みとなってしまいます。そんな緊急時にも「太陽光発電システム」があれば昼間であれば電力供給の代用が可能です。
メリット③ 光熱費の削減と余った電気の売電
太陽光発電によって電気を創り、その電気を自宅で使用することで、電気を買う量を減らすことができます。よって電気料金を安く抑えられます。また、家庭で消費している電力より、多くの電力を太陽光発電で創っている場合(消費せずに余った電力)は、電力会社に売ることで、売電収入を得ることができます。「売電価格は年々下がっている。【※1】」など、最近は話題になり気になるところですが、『FIT(固定価格買取制度)』があるのでまずは一安心ですね。
【※1】ちなみに2020年度にFITを始める住宅用太陽光発電の売電価格は、21円/kWhです。一般家庭での発電分は「10年間」固定されるので、2030年までは「10年間は1kWhあたり21円」で売電収入を得られます。
太陽光発電のデメリット
デメリット① 「雨漏り」の懸念
なぜ「雨漏り」の危険があるかというと太陽光発電システムを搭載する場所に関係があります。『屋根にパネルを設置』するのが一般的であり、その際に、屋根に穴を空けて設置するため「雨漏り」のリスクがあります。設置の際、リスクを少しでも回避し安心するために、自分の家の屋根の構造含め、『住宅のことを良く知っている』工務店や住宅会社と取り組みを行っている業者へ依頼することを私はオススメします。また、最近では屋根材によっては『穴を空けない工法』も出てきています。コスト面を含め、太陽光と屋根の構造を工務店をはじめ一度相談してみるのも良いと思います。
デメリット② ランニングコスト面の懸念
一般的にメーカーで保証されている「太陽光パネル」の寿命は25~30年といわれております。また、冒頭部分で触れました「パワーコンディショナー」の寿命は「15年程度」といわれております。パワーコンディショナーのほうが短い理由は電子機器が入り組んだ精密機械だからです。4年に一度の定期点検修理で「2万円/回」の他、住宅用太陽光発電(10kW以下)のパワーコンディショナーの交換費用は「20万円前後」を目安に考えていただくのが良いでしょう。近年は技術の進歩が進んでおり、システム全体的に寿命もぐっと延びていると考えられます。ただ正式なデータがないため、ここでははっきりとお伝え出来かねますこと、ご了承ください。
デメリット③ 「売電収入額の低下」の懸念
先ほど【メリット③】で触れました「売電収入」ですが、電力会社へ売った際の売電単価は年々減少しているのが事実です。売電収入が減っている面を見れば「消費電力を節約して余剰電気を創っても、単価が下がっているなら売電する意味ないな。」と、デメリットといえるでしょう。ただ、技術の進歩によって性能面が良くなっているだけでなく、太陽光発電システムを導入する際のコストも下がってきているのも事実です。ひと昔と比べると「太陽光発電システム」を導入しやすい環境になっています。加えて、電力会社からの買電に頼らない自家消費型太陽光発電システムが、近年主流となりつつあります。
まとめ
太陽光発電のメリットとデメリットには、まとめた他にも細かく挙げればたくさんあります。メリット面で触れましたが、自然災害が多い中、「電力」が必要不可欠な今日の日本において緊急時に「太陽光で得た」電力を使える点はとても大きなプラス面でしょう。逆に近年は売電単価が下がる一方、原子力発電から火力発電への切り替わりで電気料金は値上がりの傾向にあります。電力単価の上昇や再エネ賦課金の上昇による電気料金の負担増もさることながら、2020年はコロナウィルスによるステイホーム・リモートワークによって家庭内での電気使用量も上昇しました。これらによる家庭での電気代の上昇が今後も続くのでは、と懸念されております。そんな今、益々注目を浴びているのが【デメリット③】で触れました『「自家消費型太陽光」の導入』です。次回は「電気代の上昇と自家消費型太陽光の導入メリット」について解説していきたいと思います。
住宅に太陽光発電を導入しようvol.3~電気代の上昇と自家消費型太陽光の導入編~
いえすたいる編集部
KAKUTO
最近は「洋服(特に裏原系)」と「kpop」にハマっています! 息抜きにする「読書(主にミステリ小説)」もちょっとしたマイブームです。 これから家を建てる皆様へ、少しでもお役に立てる情報発信を 私自身も日々勉強しながら更新してます!