2022.08.31
最終更新日 2023.12.26
なぜ長期優良住宅がいいの?性能基準の改正?メリットはあるけどデメリットは?
長期優良住宅を建てると、大きく分けると「優遇措置を受けられる点」と「補助金が受けられる点」。この2点のメリットがあります。今回の記事では「一般住宅」ではなく「長期優良住宅」の認定を取ることで得られるメリットの他、認定を取得するうえで生じるデメリットをご紹介していきます。また、2022年10月より、長期優良住宅の基準の改正が入ります。省エネ性能基準が改正されますので、併せておさえておきましょう。
長期優良住宅の認定基準
長期優良住宅に認定されるためには「技術的基準」がいくつかあり、それぞれをクリアする必要があります。詳しくはこちらのコラムを併せてご覧ください。
『認定長期優良住宅』とはどんな住宅?認定基準は?条件は?
2022年10月より省エネ性能基準の改正
【省エネ住宅/ZEH水準】2022年10月より認定水準引き上げ改正に!~長期優良住宅・認定低炭素住宅・ZEH(ゼロエネ)はどれを選択すべき?~
長期優良住宅のメリット:税制優遇
住宅ローン控除
「住宅ローン控除」とは住宅ローンを借り入れして家を購入した場合、年末の残高の0.7%が所得税から控除される制度です。控除期間は13年間。「一般住宅(省エネ適合住宅)」と「長期優良住宅」とでは最大控除額に差があります。
・一般住宅では控除額は21~28万円/年(控除対象限度額は3,000~4,000万円)
・長期優良住宅なら控除額は31.5~35万円/年(控除対象限度額は4,500~5,000万円)
①年末のローン残高②控除限度額③各年の所得税+住民税 の一番低い額が控除額になる
「長期優良住宅なら必ず毎年最大で35万円の控除を受けられる。」というわけではない点に注意が必要です。
①年末のローン残高×0.7%
②長期優良住宅の減税措置最大 31.5~35万円(借入限度額4,500~5,000万円×0.7%)
③各年の所得税+住民税の合計額
①~③の金額を毎年計算し、その中で一番小さい額が毎年の控除額となります。
「住宅ローン減税」への大きな期待とは裏腹に、借入額の金額次第では、毎年の「控除額」にあまり大きな変化がないということも知っておくとよいでしょう。
参照:「住宅ローン減税(国土交通省HP)」
【2022年/新築】 住宅ローン控除(減税)改正とは? わかりやすくお伝えします!
固定資産税額が1/2に減額される減税措置の適用期間が2年間延長
3年のところが5年に延長されます。固定資産税額は住む地域によって異なりますが、毎年課税される税金です。該当期間は半減(1/2)になるので、まずは課税金額や軽減額などは把握しておきたいところですね。
『フラット35』で金利優遇を受けられる
『フラット35』とは、住宅金融支援機構と提携した民間の金融機関で利用できる長期固定金利の住宅ローンです。固定金利ローンなので金利上昇の恐れが無い事が良い点ですね。通常のフラット35よりも厳しい一定の基準を満たす住宅を取得する場合は「フラット35 S」を利用する事ができるようになります。長期優良住宅であれば、「フラット35 S」が適用可能です。『フラット35』には該当する住宅の性能基準によって「金利Aプラン」と「金利Bプラン」があり、同住宅であれば、「金利Aプラン」(10年間 0.25%金利引き下げ)が適用されます。
仮に3500万円を借入、35年返済、元利均等、ボーナス支払無で通常のフラット35と比べると・・・
参照:金利計算シミュレーションなどはフラット35公式HPで調べてみてください!
住宅ローンでおなじみの「フラット35」 メリット・デメリットを解説します!
その他の税制優遇(「不動産取得税」「保存登記」「移転登記」)
長期優良住宅のメリット:補助金活用
地域型住宅グリーン化事業
まずご紹介するのは「地域型住宅グリーン化事業」です。実は最近始まった補助金制度ではなく、平成27年度から毎年施行されている補助事業なのですがご存じでしょうか。せっかく『長期優良住宅』を建てるのであれば、是非活用を検討したい補助金の一つです!では、一体どんな補助事業なのか。どんな条件があるのか。補助額はいくらなのか。気になる方は、詳細下記リンクのコラムを読んでいただけますと幸いです。
【Ⅱ期更新/住宅補助金】令和5年度地域型住宅グリーン化事業 最大補助金140万円!
【住宅/省エネ/補助金】地域型住宅グリーン化事業とは?対象となる工務店は?どんな家が条件?
【住宅/補助金】茨城県でも活用可能!地域型住宅グリーン化事業とは?令和5年度の変更点は?対象となる工務店は?どんな家が条件?
子育てエコホーム支援事業
こちらの補助制度は『住宅省エネ2024キャンペーン』の中の一つです。こちらも『長期優良住宅』に対して100万円の補助金がございます!詳細は下記リンクのコラムを読んでいただけますと幸いです。
【最新/新築最大100万円/補助金】子育てエコホーム支援事業とは?対象条件は?いつから申請可能?
【茨城/新築/子育てエコホーム】長期優良住宅・ZEHのポイントを解説
長期優良住宅のデメリット
申請に時間がかかる
『長期優良住宅』は認定基準をクリアする必要があると述べましたが、その手続き(認定申請)は「工事着工」の前に執り行う必要があります。この点は、新築の場合は特に注意が必要です。一般住宅と比べ、工事日程の調整が必要な点はデメリットといえるでしょう。ハウスメーカーや工務店などによってばらつきはありますが、設計や申請等で数週間から1か月強の時間が余分にかかるのではないかと思います。契約から工期に余裕を持つことがポイントですね。
建築費用が増える
ハウスメーカーや工務店、設計事務所などを通じて申請を行うときには、認定のための手数料と作業料等で数十万円程度が余分にかかります。これは建物プランや会社によって違いますので費用感の確認は必要です。また、建物自体のコストも『長期優良住宅』基準にする以上、必然的に上がります。(高性能設備を導入する為。)一見すると大きなデメリットと見えがちですが、「仕様を良くすれば建築コストが上がる」のは当然のことですし、その分、長期優良な住宅です。単純にデメリットと考える必要はないと思います。・・・コスト増幅はお財布と相談ですね。コストアップ分を補助金で賄うなど、賢く補助金も活用できると尚いいですね!
完成後も維持コストがかかる
『長期優良住宅』は完成した後、住み始めてからの定期点検が必要です。5年や10年といった周期で、自治体から定期点検のお知らせが届きます。施工業者に依頼することもできますし、第三者に点検を依頼することも可能です。この点検を怠っていると最悪の場合、罰金や『長期優良住宅」』の認定取り消し、補助金の返還なども・・・。『長期優良住宅』に限った話ではありませんが、「良い状態を維持するためのメンテナンス」は何よりも大切ですよね。メンテナンスを行ってこそ、長期に渡って快適に過ごし続けられるというわけです。デメリットでもありますが長期にわたり頼れる工務店様からのメンテナンスを受けてもらえる安心感という観点では逆にメリットではないでしょうか。
まとめ
『長期優良住宅』のメリット・デメリットについていかがでしたでしょうか?税制や住宅ローン、申請コストに建築コスト等々、生活に欠かせない「お金」の増減は気になる方も多いと思います。ただ、一般基準以上の性能をクリアし、なおかつ維持管理能力を持った『長期優良住宅』は、”国から認められた優れた家”であることに間違いはないですし、生活のランニングコストをはじめ、長期的な視野で得られるメリットを見据えたうえで、総合的に「長期優良住宅の認定」を受けるか受けないか、判断していただく事が最適かと思います。良い判断を下すためにも、たくさんの工務店の施工事例を是非調査してみてください!
いえすたいる編集部
KAKUTO
最近は「洋服(特に裏原系)」と「kpop」にハマっています! 息抜きにする「読書(主にミステリ小説)」もちょっとしたマイブームです。 これから家を建てる皆様へ、少しでもお役に立てる情報発信を 私自身も日々勉強しながら更新してます!